HMW事例:地下掘削による道路陥没前後の地盤変動

事象の背景

ある町の地下で、インフラ敷設のために掘削が進んでいました。順調に延伸してきましたが、あるとき、掘削現場の直上の道路が陥没しました。国内に限らず、世界中でたびたび起きる事象です。

解析結果

短期間で急激に起きた変化と考えられたので、半年間だけ解析しました。その結果、掘削範囲の延伸ごとに沈下範囲も延伸していく現象を捉えました。また、掘削した片側の地盤が、掘削された側に傾く事象も捉えました。参考までに、陥没した箇所にほど近い箇所の時系列グラフを示します。

掘削機器が通過した直後から、急激な沈下が生じていることがわかります。

考察

今回の解析では、一般的な解析に特殊な解析を加えて結果を出しました。それだけ見ると、多くの人は解釈を誤ります。しかしEdafosは地球科学に精通しているので、地盤の性質から起きうる事象を想定し、想定した事象と整合する現象が起きていることを現地で確認しました。

また、地盤沈下は、大昔の人為的行為にその後の自然の動きが加わって起きることもあるため、今回の事象はそのために起きたことなのか、掘削によって起きたことなのかを判別する必要がありました。そのため、この地点と同条件の範囲も解析し、前者ではないと特定しました。

たいていの工事は、事前に入念な調査がなされ、細心の注意を払って行われます。しかし、地球の(=地下)構造は(とくに日本では)大変複雑で、地表やボーリング調査だけではわからないことが多々あります。人的活動が少ない範囲で工事を進める場合には大きな問題にはなりませんが、そうでないような場所(例えば、工場地帯や住宅街や繁華街や鉄道のある場所)では、SARの時系列解析で監視しながら工事を進めると、大きな事故を防げるのではないかと思います。

なお、短期間に起きる急激な現象を捉えるには、ゆっくりとした変化と違って、上記のグラフのようなSAR特有のフラつきが出るグラフから読み取ります。このフラつきがシグナルなのかどうかは、解析経験豊富なEdafosなら解釈を加えることができます。