HMW事例:埋立地の不同沈下(隆起)の時間変化

事象の背景

平地が少なく、少ない平地には水はけの悪い土地が多い日本では、内陸・湾岸を問わずに埋立地が多く存在します。明治時代以前に埋め立てられた土地は、さすがに締め固められ安定していますが、比較的新しい埋立地(とくに平成以降)は未だ不安定で、隆起や沈降を繰り返しています。埋立はできる限り均一に行われるものの、やはりどこかに不均一が生じ、また、地下水の入り方によってもその地盤は変化し、地盤沈下はもちろん、その形態が「1つの埋立地のなかで、沈下や隆起する部分があり、そしてその量がまちまちになる」、すなわち不同沈下(=不等沈下)も発生し得ます。

解析結果

埋立地を含む広範囲を、6年弱分解析しました。その結果、その埋立地は不同沈下(隆起)していることがわかりました。埋立地のなかで変動が少なかった場所と多かった場所のグラフを示します。

Aは、埋立地のなかで変動が小さかった箇所です。Cは、埋立地のなかで変動が大きかった箇所です。AとCは340mほど離れています。また、長期間の解析なので、A、B、Cとも、自然の堆積や工事の影響を受けていない場所である、大きめの建物の上を選定しました。

Aは、解析開始から1年くらいは年7mm程度の速度で隆起していますが、その後は年1mmにも満たないので安定しているといます。一方で、Cは隆起を続け、6年弱で90mmほどなので、年15mm弱の速度で隆起しています。

Bは、Cと同じ建物の、その建物のなかでは変動が小さかった場所です。Bは6年で36mmほどですので、この6年間では、同じ建物のなかで54mm程度の違いが生じてしまっていることになります。

考察

埋立地に住宅や事務所、工場を設置するときにはそれなりの覚悟が必要です。そもそも土地が低く水害リスクがありますが、それだけでなく、液状化や、このような地盤沈下や不同沈下(不等沈下)も発生します。

埋立地に進出すると決めたら、建設のときはもちろん、その後も覚悟をもってご自身で対策をしないといけません。その際に、SARで地盤沈下や不同沈下を時々刻々と把握することで、今後の影響を推定し、どこから対策をとるべきか、いつから対策を取るかの工事計画を立てると良いでしょう。Edafosでは地盤沈下対策の専門企業と提携しているので、ご紹介も可能です。