SARによる被害箇所の抽出

Edafosのサービス【HMD】(Hazard Mapper DISASTER)の詳細をご説明します。

SARから見て地表の性状が変化した箇所がわかる

SARデータを用いることで、被害に遭った箇所を抽出することができます。より正確にいうと、被害箇所などの「地表の性状が変化した箇所」を抽出できます。

SARによる地盤変動の発見』のページで、SARでは「どの場所が何年間(ヶ月)で何mm沈降(隆起)したかがわかる」と書きました。

(そもそもSARって何?を知りたい方は、Solid Earth Channelの『SARってなんだろう?』をご覧ください。)

「地表の性状が変化した箇所」を抽出するには、これとは別の解析手法を用います。

ところで、「性状が変化した」とはどういう箇所かというと、例えば、下記のようなものです。

  • 洪水で住宅地が浸水し水浸しになった箇所
  • 道路に土石流が流れ込み土や石が堆積した箇所
  • 駐車場だったところに土砂崩れで落ちてきた土砂が堆積した箇所
  • 液状化でガタガタになった町
  • 巨大地震で倒壊した家屋やビル
  • 火山噴火で火山灰が堆積した箇所
  • 工事している範囲

SARを使用するメリット

衛星写真やドローンではなく、SARを使用して「地表の性状が変化した箇所」を抽出することには、下記のメリットがあります。

  • 天気や明るさに左右されず撮像できる。
  • 1回に最大で数十~数百km四方と、一気に広い範囲を確認できる。
  • 衛星写真を目視したのでは変化かどうかを判別しにくい場所も判別できる。
  • 立ち入りできない危険な場所でも、人が行かずに被災箇所を特定できる。
  • 写真ではわからない変化も把握できる。

以上のような性質から、復興・復旧を進める方々には、下記の点で役立ちます。

  • どこに被害箇所があるのかわからない状態で歩き続ける(調査を続ける)必要がない。
  • 人による踏査より、被害箇所把握時間を圧倒的に短縮できる。
  • 人による踏査より、被害箇所把握費用を圧縮できる。
  • 危険な場所に立ち入らずに被災箇所を把握できる。
  • 目視ではわかりにくい変化(ex.建物や道の微妙な傾き)も抽出できる。

当社の解析結果の特徴

Edafosでは、人間活動の盛んな場所の被害箇所抽出の精度向上に日々取り組んでいます。

そのため、解析精度は都市部にチューニングしています。これにより、人間活動や経済活動に影響する被害範囲を高精度で特定しようと試みています(そのため、解析結果の信頼性の高い範囲のみに絞っています)。

実際の解析結果は、例えば、地震により液状化した範囲は、公的な報告書と概ね一致します。むしろ、報告書では調査されていない範囲も広く面的に捉えられています。

さて、Edafosの解析手法の特徴を、もう少し具体的に紹介します。

地表の性状が変化した箇所を抽出する解析手法は、研究者の間ではかねてより行われており、業界内では一般的でした。しかし、一般的な解析手法ではノイズと考えられる結果(以下、「余計な結果」という)が多く残ってしまうため、当社では余計な結果を減らす取り組みをしています。

その結果、2022年7月現在、当方の初期のノイズ低減手法を用いた解析結果に対して、余計な結果を大幅に削減し、被害確度の高い場所を以前より漏らさずに抽出する手法を開発しました。

参考として、2018年に発生した北海道胆振東部地震による被害箇所抽出結果を示します。灰色の背景に対して青または緑の色がついている箇所が、被害(衛星から見える面における、構造物の破損、倒壊、傾きなど)があったと考えられる箇所です。

なお、住民の方に配慮して、どちらの図も背景には住所が特定できる一般的な地図ではなく、特定できない国土地理院の陰影起伏図を用いています。

【Edafosが従来使用していた手法による解析結果】

セル1つか2つ分だけ色がつく箇所が多く散在する。

【Edafosが2022年7月に開発した手法による解析結果】

セル1つか2つ分だけ色がつく箇所が、従来手法に比べて大幅に低減した。

サービス提供方法

今後も、被害箇所の抽出精度向上に試行錯誤して参ります。とはいえ、SARで抽出した被害箇所の精度には限界があり、現実点でその限界にかなり近づいていると考えています。

そこでEdafosは、地震や噴火などの自然災害の現場経験が豊富という特長を活かし、SARの解析結果の限界を我々の知見で補い(解析結果に解釈を加え)、より現実に即した報告書を作成してご提供いたします。

HMD事例一覧

2022年4月ウクライナの被害箇所(2022年4月up)

2018年9月北海道胆振東部地震の被害範囲(2022年8月up)